| 回数 | 放送日 | サブタイトル | ゲスト出演者 |
| 1話 | 昭和41年5月4日 | おぼろ月夜の女 | 北林早苗 宮園純子 曽根晴美 |
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連続して起きる殺人事件。手がかりは、死体に彫られた十二支の刺青。そして左利きと思わせる手口。平次は殺されたのは、窃盗団十二支組の一味と確信する。五年前に十二支組が盗んだ五千両の行方は?平次は女岡っ引きお品とともに下手人を追うが、意外な犯人が浮かびあがる。 ゲスト 北林早苗さん(お珊)、宮園純子さん(お品)、曽根晴美さん(巳之吉) 原作は「お珊文身(ほりもの)調べ」 37歳の橋蔵平次誕生。目元きりり、しけのある髷、縞の着物。先輩平次長谷川一夫さんをかなり意識している気がします。投げ銭の数が多く、立ち回りのスピードが早く、平次の出番も多いです。 最初の投げ銭は平次の家を窺っていた遊び人に投げられました。その後、ちゃんと平次は銭を拾っていました。 最初は明神下ではなく「神田の平次」と名乗っています。 女目明しお品さんは、原作によると本所の御用聞き石原の利助の一人娘。年のころは22,3歳。2,3年前に一度縁付いて夫に死なれ、父親のもとに帰ってきたという設定です。若後家なんです。 * たいへんだァ〜 平次の家。八五郎が庭に飛び込んでくる。 八「親分!たいへんだァ〜、たいへんだァ〜」 お静、平次の顔を剃っている。 平次「おぅ、あごの下だい」 お静「はい」 平次「おぅ、もっと右だ、右」 お静「はい」 平次「おぅ、そこだい」 八「親分(縁側をパンと叩いて)たいへんでぃ!」 平次「おめぇのたいへんに、いちいちつきあってちゃ、身がもたねぇよ。今日のたいへんは何だい? ふん、また横丁の白犬が五匹の子供を産んだっていうのかい」 お静、くすくす笑っている。 八「へっ、そんなんじゃありませんよ。殺しですよ」 平次「(顔色が変わって)何!場所は?」 八「へい、本所の一つ目稲荷で」 平次「本所?それじゃ石原の利助親分の……」 八「ええ、お品さんもちゃんと出張ってますぜ」 平次「バカヤロー、なぜそれを早く言わねぇんでぃ。それじゃ何も俺が出しゃばることねぇだろう」 * ラストシーン 参道。 参道を走ってくる八五郎。横道から平次とお静がくる。三人とも祭りの半纏を着ている。 八「あっ、親分」 平次「おぅ」 八「おっしゃる通り、五千両は一つ目稲荷の裏山に」 平次「そうかい」 お静「よかったわねぇ」 平次「ああ」 八「あのね、親分、どうしてあそこに隠してあるってわかったんです?」 平次「おめぇが教えてくれたんだ」 八「あっしが?」 平次「初めに死んだ弥平は、朝昼晩と日に三度、お稲荷さんをきれいに掃除してたと言ったじゃないか。何かなきゃ、そんなことするもんかい」 八「あっ、な〜るほど」 お珊の声「親分さ〜ん」 旅姿のお珊が駆け寄ってくる。 平次「あっ、お珊さん。笹野様に会ったかい?」 お珊「上総に笹野様の治療所があるそうで、そこでゆっくり休めと添え書きまでいただきました」 平次「そうかい。それはよかった。人の噂も七十五日、十二支組のことなんかすぐ忘れる。そしたら、また江戸へ帰ぇってきな」 お静「元気でね」 お珊「ご恩は一生忘れません」 去っていくお珊。 平次「(八五郎に)ぼや〜っとしてねぇで、その辺まで送ってやんな」 八「へい!(元気にお珊の後を追う)」 お静「今まで、あんたがどこかまで送ってくれたことが、あったかしら」 平次「……(目が泳いでいる)あっ、神輿が!(指差して話題をそらそうとする)」 お静「意地悪ぅ〜」 大勢の人の中、神輿が練り歩く。
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| 2話 | 5月10日 | 残された風車 | 砂塚秀夫 磯村みどり |
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八五郎が悪名高い踊りの師匠おさよの用心棒に雇われた。その師匠が一本の矢に喉を突かれて死んでしまった。おさよには細々と風車を作っている兄がいた。が、実はおさよとは夫婦。おさよの女中お咲は、おさよに恨みを持っていた。 ゲスト 砂塚秀夫(順八)、磯村みどり(お咲) 平次の家では、十姉妹を飼っています。お静がえさやりをしていました。 平次が出かけるとき「お静、羽織だ!」と言っていますが、後に「お静、出かけるぞ!」と変わります。 平次と八五郎が将棋をしています。平次は、事件のことを考えていて、将棋は上の空。でも八五郎が王様を隠したのには、気づいていました。 八五郎が矢場で矢取女たちに那須与一ではなく「じゃがいも与一」と言われたのには、大笑い。 * ラストシーン 平次の家。祭囃子が聞こえてくる。八五郎、頭にお面、手に風車を持って、元気なくお静と平次の間に座る。 平次「八、どうしたい?盆踊りには行かねぇのかい」 八「ええ」 お静「表でお弓ちゃんが待ってるわよ。八つあんと一緒に踊って……」 八「すいません。塩まいて追っ払ってください」 お静「塩を?」 八「ええ、あっしゃ、もう女にはこりごりなんすよ」 平次、笑う。 八「女なんてぇのはね、綺麗な顔してれば、してるだけ腹ん中、真っ黒なんだ。うっかり男がはまりこもうなら……」 八五郎、お静が睨んでいるのに気づき、はっとする。 お静「それで? 八つあん、最後までおっしゃいよ」 八「へへ、姐さんは別ですよ」 お静「あら、私も女よ」 平次、また笑う。 八「(風車で平次をたたいて)親分、笑ってねぇで何か言ってくださいよ」 平次「ハハハ」 お静も笑う。 お弓「(玄関先で)八つあん!早くいらっしゃいよォ〜」 八「はいよ、今行くよ(急にうきうきして)へへへ、じゃ、親分、姐さん、ちょいとひとさし(手振りをして)舞ってまいりやす」 八五郎、いそいそと出て行く。 平次「何だ。三日見ぬまの桜みてぇじゃねぇか」 平次とお静、また笑う。 お静「ねぇ、おまえさん、お咲ちゃんのお裁き、どうなるのかしら、心配だわ」 平次「そいつはお奉行様が決めるんだ。きっとお情けあるお裁きがあるだろうよ」 お静「だといいんだけど」 平次「でぃじょうぶだよ」 風車を見つめる平次。 |
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| 3話 | 5月17日 | 謎の夫婦雛 | 舟木一夫 赤木春恵 御影京子 |
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子年生まれの二十歳の女軽業師ばかり、この三ヶ月の間に五人も行方知れずになった。そしてまた一人……一体、誰が何のために。事件現場の周辺に必ず現れる不審な若侍。平次はその若侍が残していった夫婦雛から奥州高島藩にたどり着いた。この藩に何が起きているのか、若侍の正体は? 娘たちは無事戻れるのか。 ゲスト 舟木一夫さん(秋月新太郎)、赤木春恵さん(おかん)、御影京子さん(七重) 劇中で、舟木さんが「ひぐれ山唄」を歌います。ラスト、「銭形平次」のテーマソングも流れますが、映画を見ているようでした。 平次がなぜ軽業師ばかり狙うのかと不思議に思っていたら、八五郎ったら「そりゃ、持ち運びに便利だから」だって、笑ってしまいました。平次は「荷物じゃねぇや」と苦笑。 橋蔵平次、独自の技、「二丁十手」がお披露目された。「二丁十手」「投げ十手」と橋蔵さんは柳生流に学び、編み出したそうです。 お姫様の代わりに籠から出てくる平次。御高祖頭巾をしていますが、綺麗でしたねぇ。 悪家臣役で永田光男さんが出ていますが、三年目から同心樋口一平として、最後まで平次とおつきあいをします。 平次の家に三味線がありました。(長火鉢のうしろに立てかけてありました)後に、お静が近所の人々に教えたり、平次がつまびく場面も出てきます。 * ラストシーン 平次の家。平次、庭にいる。 平次「(空をながめてから)今日だったな、確か秋月さんやお姫様が、磐城に立つ日は」 八「へぃ、今頃、二人仲良く晴れ晴れと……でさぁ、へへへ」 お静の声「ご苦労様でした」 戸の閉まる音。お静が来る。 お静「こんなものが届きましたよ(平次に渡す)」 平次「手紙かい?(箱を開ける)」 お静「まぁ、かわいい夫婦雛」 平次「(手紙を広げる)な〜んだ、秋月さんからじゃねぇか」 お静「(夫婦雛を手にとってしげしげ見る)まぁ」 平次「お姫様が、丹精こめて作ったそうだ。おめぇに赤ちゃんができたら飾ってくれとよ」 お静「まぁ」 磐城への道中。新太郎、姫(七重)に花を摘んで手渡す。 ♪野暮な十手は 見せたくないが 見せて聞きたいこともある 悪い奴らにゃ 悪い奴らにゃ 先手をとるが 恋のいろはは 見当つかぬ とんだことさと とんだことさと 苦笑い 平次の家。平次とお静、仲良く夫婦雛を見ている。八五郎、あてられて参っている。 磐城への行列場面。 平次とお静、夫婦雛を持って向かい合っている。 |
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| 4話 | 5月24日 | 千里の虎 | 芦屋雁之助 松村安子 |
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千里の虎と名乗る盗賊。大胆にも平次に挑戦状をたたきつける。必ず、虎を退治してみせると啖呵をきる平次をあざけるように虎はいとも簡単に盗みを成功させていく。町の人々は。平次に不信感を募らせる。平次と八五郎が、やっと追い詰めた先は、、見ざる、言わざる、聞かざるの三人が住む長屋。平次はこの三人の中に虎がいると確信するのだが……。 ゲスト 芦屋雁之助さん(竹の市)、松村安子さん(お糸) 原作は、「庚申横丁」 映画「銭形平次」(昭和42年)でも千里の虎と名乗る男が出てきました。 お静の人柄、心情が光る作品でした。 子供たちに「平次の腰抜け、ふぬけ〜」とはやし立てられても明るくふるまうお静。八五郎がぼやけば、なぜ、平次があえて矢面にたつようなことをしているのか言い聞かせ、平次の力になってと八五郎に頼んで八五郎を立てます。 犯人の目星がつかない平次を寂しそうに見つめるお静が印象的。 お静の言葉のなかに、姐御風な口調がありますね。初期のころにたまにみられます。平次のことを「あんた」って言ってみたり。 八五郎が平次の悪口を言った子供を掴まえ、「こういう悪いのは、今のうちに摘んどかないとこいつらのためによくない。子供の躾が一番大事」といいます。平次は「そのまえにまず大人が自分を正すことだ」と。今の時代にもいえることです。 * 平次の挑戦 平次の家。 平次の悪口を言ったり、石を投げた子供たちを帰してから。 八「それにしても親分、今度ばかりはちょいと勇み足でしたね。世間に公言しねぇで、こっそり虎退治すりゃよかったのに」 お静「何言ってんですよ!八つあんらしくもない。何年十手を持ってるんですか!」 八「え〜っ」 お静「黙ってて虎の居所がわかるかしら?相手はいつどこへ出るか、わからない大泥棒だんだよ」 八「するってぇと……そうか、必ず御用とすると正気に啖呵をきったのは、虎の牙をこっちに向けるための……」 平次「おぅ、八、一杯やろう」 八「親分、申し訳ねぇ。親分の深ぇ心も知らねぇで、生意気なことぬかしちまって」 平次「いいってことよ。さぁ、憂さ晴らしだい(八五郎に酌)」 八「ありがとうございます」 お静「これからも、また親分の力になってね」 八「へぃ、そりゃこの命に代えたって必ず虎をとっつかまえてやりますよ」 八五郎、一気に杯をあける。 八「景気づけにもう一杯」 平次「あぁ、その元気だい。頼むぜ(八五郎にまた酌)」 八「でも姐さん、姐さん、やっぱり親分のおかみさんですよねぇ〜。あっしも親分の気持ちはたいがいわかってるつもりだったんですがね」 お静「当たり前ですよ。黙っていても、つうとかあ、ねぇ、おまえさん」 平次「ハハハ」 お静「うふふ」 八「こ〜りゃ、たまらねぇや、ごちそうさま」 * ラストシーン 平次の家。 平次が玄関を出ようとすると五人の男の子たちが来る。 子供たち「おじちゃん、おじちゃん、銭形のおじちゃん」 平次「おぅ、みんな元気だな。歌でも歌ってそこまで一緒に行こうか」 子供「何の歌?」 平次「おじちゃんの歌だよ」 子供たち「え〜っ」 子供たち、驚いて顔を見合わせる。 平次「かまわねぇ、何でも大きな声をだすと丈夫になるんでぇ。さぁ、♪平次の腰抜け〜」 子供たち「♪平次の腰抜け、平次のふぬけ〜」 平次、子供たちを連れて出て行く。あとから八五郎。見送るお静。 |
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| 5話 | 5月31日 | 捕物仁義 | 大木実 三島ゆり子 |
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八五郎が浪人、皆川半之丞の家が怪しいと平次に告げる。半之丞の家の裏手が両替商長崎屋ときき、平次は、重い腰をあげた。そして、半之丞の妹、お京が不審な死を遂げた。半之丞はどうやら、旗本永井家に縁のある侍らしい。事件に深入りする平次を止める笹野新三郎。長崎屋と永井家との係わりも見え隠れする。事件を追った八五郎もお品も行方知れずとなる。平次は十手返上覚悟で事件に挑む。 ゲスト 大木実さん(皆川半之丞)、三島ゆり子さん(お京) 原作は「捕物仁義」 平次、初めての十手返上。でも笹野様から「もぐらの(事件に抜け穴を掘ることが関係しているから)十手は受け取れないと下っ引きを通じて戻されます。 お静は、岡っ引きの女房としての覚悟を初めてします。平次にも「おめぇも岡っ引きの女房、覚悟はできているだろうな」と言われます。 笹野様は、平次に事件から手を引くように言っても、何気なく永井家の情報を書いた書付を置いていきました。ありがたいことですね。平次がやすやすと事件から手を引くような男ではないことをわかっているからでしょう。 八五郎が、永井家を探るため、お京に学問を教わっています。平次に命令で、本人はやる気なし。お京とのやりとりが面白かったです。 タイトルは、平次のこの台詞からでしょうか。「お武家の世界に義理がありゃ、捕物の世界に仁義ってものがあります。もぐらのもめごとにもお上のお目こぼしがあるってもんだ」 * 岡っ引きの女房 平次の家。 縫い物をしているお静、心配そうに平次の顔を見る。平次、腕組をして考え込んでいる。 平次「お静、こっちへ来て座んな」 お静「どうしたんです? 改まった声なんかして」 お静、平次のところに行く。 平次「おめぇも岡っ引きの女房、覚悟はできてるはずだ」 お静「いやですよ、冗談なんか」 平次「冗談じゃねぇ。ひょんなことから、係わりあった一件だが、たぐっていけばいくほど根が深い。笹野様さえ、手を引けとおっしゃるんだ。しかし、こいつを見逃しちゃ、この平次の男が……いや、そんなこっちゃねぇんだ。俺を頼りにしてくださる江戸の衆に申し訳が立たねぇ。お静」 お静「わかってます。やめてくれなんて、口が腐っても言やしませんから。おまえさんの気の済むようにやってください。私のことなんか心配いりません」 平次「お静、すまねぇ。これでこの一件に命を張ることができらぃ」 * ラストシーン 往来。 永井家の行列。皆川(川浪)、平次たちにお京の位牌を見せ、会釈して去って行く。 お静「おまえさん、晴れて夫婦と名乗りあえる日がきたのにねぇ。お気の毒なお京さん」 平次「あれがお京さんの立派な晴れ姿だ」 八「親分、ひとつ、ふたつ、聞きてぇことがあるんですがね」 平次「何だ」 八「半之丞は、なぜお喜多さんを口説いたんです?」 平次「お喜多に土蔵の鍵を持ち出させようとしたんだろう」 八「じゃぁ、永井っていう旗本と長崎屋が、繋がってるのがどうしてわかったんです?」 平次「長崎屋は昔、長崎で抜け荷買いをやっていた。そいつを目こぼししていたのが、長崎奉行下役永井平馬って奴だよ」 八「(腕組をして)ふ〜ん」 平次「もっとも、こいつは八五郎親分のお手柄だがね」 お品の下っ引き、太吉が走ってくる。 太吉「銭形の親ぶ〜ん! 親分、笹野様がもぐらの十手なんか受け取れねぇって言ってやしたよ(平次に十手を返す)」 八「へへへ」 平次「そうか、お静、また当分おめぇの苦労が続きそうだぜ」 お静「うふふ、覚悟はできてますよ。うふふ」 平次「ハハハ、さぁ、行こう」 平次、お静の肩を抱いて、去って行く。そのあとを続いて行こうとする八五郎と太吉をお品が止める。 お品「気が利かないわねぇ」 八「何だってんだよォ」 平次の家。 平次、神棚に十手を置く。そしてその前でお静のかんざしを直す。平次とお静、見つめあい、微笑む。 |
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| 6話 | 6月8日 | 八五郎子守唄 | 馬渕晴子 徳大寺伸 増田薫 |
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お弓が八五郎に隠し子がいたと大騒ぎ。謎の女がおひなという女の子を八五郎の子だと言ってひょうたんに置いていってしまったのだ。平次はおひなの身なりなどから、女は矢場の女とあたりをつけるが、矢場の主人殺しとして捕まってしまった。無実を訴えるお半。次々と起きる殺人事件。真の下手人はだれ?子供を預けたお半の真意とは? ゲスト 馬渕晴子さん(お半)、徳大寺伸さん(儀十)、増田薫さん(おひな) お静がおひなを見て、こんな子がほしいというと、平次は、欲しかったら産めばいいとか、ぐずぐずしてると十姉妹の方が先に子供をつくるとか、冷たい返事に思います。初期のころは結構そっけない返事をするときがありますね。 私の好きな場面のひとつが登場。平次がお静に羽織を着せ掛けてもらうとき、ちょっと腰を落とすのですが、その仕草が何とも色気があるというか、素敵なんです。 * そっけない…… 平次の家。お静、おひなと遊んでいる。平次、十姉妹の世話。 お静「おまえさん」 平次「何だい」 お静「私たちも早くこんな子供がほしいわね」 平次「ほしかったら、産みゃぁいいじゃないか」 お静「まぁ、そっけない返事」 平次「ぐずぐずしてると、十姉妹夫婦の方が先に子供をこしらえるぜ」 お静「いいわよ。(おひなに)さぁ、おんもに行きましょうね」 * ラストシーン 番屋。 お半が出てくる。外で八五郎がおひなを連れて立っている。 おひな「お母ちゃん」 お半「おひな!(おひなを抱きしめる)ごめんよ、寂しかったろう……(八五郎に)親分さん、ご迷惑をおかけしました。どうか赦してください」 八「いいえ、あっしは、ちっともかまわねぇんだ」 お半「本当にすみませんでした。さぁ、おひな、あんたもね親分さんにありがとしてね」
路地裏から角兵衛獅子の格好をした男の子が駆け寄ってくる。 金助「お母ちゃ〜ん!」 お半「金助!あんた、どうしてここへ?」 金助「よそのおじちゃんがね、母ちゃんに会えるからと教えてくれたんだよ」 物陰からその様子を見ている平次。 お半の声「金助!」 お半、二人の子の手を引く。 お半「ほんとに何もかもありがとうございました」 八「元気でな」 お半、子供たちと去って行く。 八「(涙ぐんで)♪しょうの笛〜」 平次、お半たちの姿が見えなくなってから、笑顔で姿を現す。 |
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| 7話 | 6月15日 | 濡れた千両箱 | 炎加世子 天草四郎 |
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突然の雷雨。寺に運び込まれた三千両が消えた。八五郎のお手柄で千両箱は見つかったが、中身は砂利。事件は振り出しに戻ってしまう。八五郎では荷が勝ちすぎると乗り出した平次も頭を抱える。しかし、千両箱が置いてあった畳が濡れていたことに不審を抱いた平次の推理が冴える。 ゲスト 炎加世子さん(お兼《おるい》)、天草四郎さん(源助) 原作 「濡れた千両箱」 八五郎は三輪の万七を手伝う名目で事件現場へ。万七を負かす推理をしますが、やっぱり、平次親分にご登場願わないと解決できません。 初期のころは、殺陣のスピードも早いですが、投げ銭の数も多いです。今回は13回も。 ものは言い様?平次が八に「バカみてぇな顔してるが、なかなかいいところがある」というと八「バカみてぇな顔とはひどい」と反発。平次は「みかけより利口だって言ってるんだから礼を言ってもれえてぇくらいだ」ですって。 今回、平次は八五郎に将棋に勝っています。 * ラストシーン 平次の家。 平次と八五郎、将棋を指している。 八「ふ〜ん、ふ〜ん(余裕の鼻歌)」 平次「おい、八、これでいいのか?」 八「ふ〜ん、ふ〜ん、どうぞ」 平次「本当にいいんだな」 八「うんにゃぁ〜、親分、遠慮はいらねぇや」 平次「よし、王手だ!」 八「ちょっと待ってくださいよ。どさくさまぎれに王手とは……もうやめた〜ぃ」 八五郎、持ち駒を放り、駒を片付ける。 八「ところで、親分、あの夕立のどさくさにまぎれて千両箱をすりかえたってぇのは、わかりますがね、いってぇどうやってやったんです?」 平次「な〜んだ、負けた照れ隠しに話題を変えやがった」 八「へへへ」 平次「そりゃぁな」 八「へい」 平次「あらかじめ、お通の店の裏手に砂利を詰めた千両箱を置いといて、そいつを人足たちにすりかえさせたんだろう。そうとしか考えられねぇ」 八「ふんふん、なるほど。で、『今晩、丑の刻……』ってあの手紙が誰が書いたもんで?」 平次「源助だい。源助がお兼と示し合わせたもんだ。住職が帰って来なかったもんで、三千両の受け渡しが明日になると決まると源助は、一件を複雑に見せるため、砂利を詰めた千両箱をお兼と井崎たちに盗みださせた。お兼らは、にせものと承知で盗み出し、それを新しい墓に埋めたんだよ」 八「でも何でしょ?親分は源助の書いたもんと付け合せてみたんでしょ?」 平次「俺が人足の名前を書かせたとき、筆の手を変えやがったんだ。用心深い奴さ。だが、その用心深い男に大それたことをさせたのは、女だからな」 八「女ですか」 平次「源助が若い時分に関係した女、今じゃ巾着切りのしたたかものになっているお兼に手切れ金をくれと責められたんだ。八も女には気をつけろよ」 八「あっしゃぁね、お静姐さんみたいな女じゃなきゃ手を出さねぇんで……おっ、待ってました」 お静、お銚子を運んでくる。 お静「八つあん、聞こえたわよ」 八「だから姐さんみたいな女がいいって言ってんですよォ」 平次「調子のいい野郎だ」 お静「うふふ」 八「調子の出たところで、もうひとつおねだり(お静にこずかいを催促する仕草)」 お静「だめ!(八五郎の出した手を)たたく」」 八「親分の投げた一文銭が欲しいやな」 平次と八五郎、お互いに酌。八五郎のついだ酒が盃からあふれたようですね。 |
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| 8話 | 6月22日 | 刑場の花嫁 | 小川知子 林彰太郎 田浦正巳 |
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廻船問屋十海屋の主が殺された。疑われたのは跡継ぎの養子の小三郎と遠縁の幾松。そして小三郎が自白をする。だが、平次は現場の血のあとなどから、殺しの直後にふたりの人間が訪れていると確信する。しかし、そこから行き詰まる。小三郎の無実の証がたったとき、小三郎は処刑場ではりつけになっていた。そこへ花嫁姿のお美乃が駆けつけ、役人に小三郎と祝言だけでも挙げさせてくれと頼むのだった。平次は間に合うのか! ゲスト 小川知子さん(お美乃)、林彰太郎さん(小三郎)、田浦正巳さん(幾松) 原作 「刑場の花嫁」 お美乃がお静から花嫁衣裳を借りたって言ってましたが、平次とお静、ちゃんと挙式したのでしょうか?#14「七人の花嫁」では、お静は「一度花嫁衣裳を着たかった」と言っていますが。 * 平次の誇りとお静の誇り 平次の家。 平次、思案中。 お静「おまえさん、お茶が入りましたよ。そんなに考えると体に毒ですよ」 平次「八、遅せぇな〜」 お静「銚子まで行ったんですもの、あの小三郎という人のお仕置きもとうとう明日ですね。私にはわからないけど、お品さんの話じゃ小三郎という人はお白州でも神妙で口書きにもスラスラ答えたというじゃありませんか」 平次「お静、お白州の裁きは、俺たち岡っ引きの調べを基にして決まるんだ。言い換えれば、俺たちは人様の命を預かる仕事。俺はいつもそいつを思って十手を握ってるんだ。それが五十両の行方はわからねぇ、殺しのあった夜にも謎がある。小三郎が祝言を拒み通したからにゃ、女がいるはずだがそれも浮かばねぇ。これじゃ得心のいかないことばかりで俺の誇りが許さないんだよ」 お静「おまえさん、わかりました。女房の私がつまらないことを言ってしまってごめんなさい」 平次「謝ることなんかねぇよ。おめぇにゃ、苦労のかけどおしだからな」 お静「いいえ、私には、銭形平次の女房という誇りがあります。大丈夫」 平次「こいつは一本やられたな」 二人で笑う。 * ラストシーン 十海屋の店先。 小三郎「お美乃、お美乃、親分さんだよ」 お美乃が出てくる。 お美乃「あっ、親分さん」 平次と八五郎が歩いてくる。 平次「小三郎さん」 小三郎「はい」 平次「波五郎は無実の証がたって、近々放免になることになったよ」 小三郎「そうですか。ありがとうございました」 お美乃「何もかも親分さんのお陰でございます」 平次「幾松とお磯はお仕置きを決まった。まぁ、これからは嫌なことは忘れて、家業に励むんだな。お美乃さん、いい女房になるんだぜ」 お美乃「はい、親分さんのご恩は一生忘れません。申し遅れましたが、おかみさんにお借りした花嫁衣裳のお礼をくれぐれもよろしくおっしゃってくださいませ」 平次「いいってことよ、そんなこと、それじゃ元気でやんな」 小三郎・お美乃「はい」 平次「行くぜ」 八「へい」 平次と八五郎、往来を歩きながら、 八「ねぇ、親分。親分も随分人が悪いっすねぇ」 平次「なんの話だい?」 八「恐れ入谷の鬼子母神。さすが日本一の親分だ。花嫁姿で処刑場に行かせるなんざ、見事な狂言でしたよ」 平次「バカ、岡っ引きがそんなことしていいかどうか、考えてみろ」 八「ハハハ、言うことがまた憎いや、ハッハッハッ」 平次「何て笑い方しやがる。ころがって鼻の頭すりむいても知らねぇぜ」 八「そんなに高くありませんよ」 平次・八「ハハハ……」 往来を歩いて行くふたりの後姿。 |
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| 9話 | 6月29日 | 兄弟ふたり | 露口茂 浪花千栄子 市川好郎 |
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呉服問屋で働く春吉。一分金を盗んだと濡れ衣をきせられ、くびになる。なぜ俺ばかりが……前科物の父と兄をもったばかりに。伝馬町から帰ってくる兄、弥太郎。なぜ出所祝いなんか……母の気持ちがわからない。弥太郎は弟をくびにした扇屋へ怒鳴り込みに行く。そして扇屋の主人が殺される。巧妙に仕組まれた罠にはまる兄弟。無実を訴える母。この母子に明るい日は来るのか。 ゲスト 露口茂さん(弥太郎)、浪花千栄子さん(おみね)、市川好郎さん(春吉) 冒頭、平次と八五郎が将棋。また平次が不利なよう、八五郎は自信満々。でも御用が入って勝負はお預けです。 映画でも橋蔵さんと共演された浪花千栄子さん、お母さん役が、ほんとうに上手いですね。私生活でも橋蔵さんと親交が深かったらしく浪花さんのお宅へ食事によばれたことがあるとか。 扇屋の店先で弥太郎に殴られ、ころげた八五郎。そのあと平次の立ち回りがあっても出てこな〜い。どこにいっちゃたの、八つあん。 平次の計らいで母子三人、米屋で働くことになってよかったけど長女のおえんはどうしたんでしょう? 旦那がお縄になっちゃったし、家事専門? * 平次の説得 扇屋の店内。 弥太郎が人を殺そうとするのを平次が説得。 平次「弥太郎、おめぇは自分の気さえ済めば傍はどうなってもかまわねぇというのかい。おっ母さんや春吉の気がまだわからないのかい」 弥太郎「うるせぇや」 平次「おっ母さんはな、おめぇがバカをしでかさないように俺に向かって手を合わせて頼んでいたぜ。おめぇの気持ちはわかる。だが、もし間違いを起こしたら、おめぇひとりが罰を受けるだけじゃ、すまねぇ。おっ母さんや春吉たちが、一生暗い日を送ることになるんだぜ。そこをよ〜く考えるんだ、わかったな」 * ラストシーン 米問屋丸十。 春吉と弥太郎が働いている。 春吉「あっ、兄ちゃん、親分だ」 平次と八五郎が歩いてくる。 平次「弥太郎、よく似合うじゃねぇか。どうやら大分慣れてきたようだな」 弥太郎「へへへ……どうも」 おみね「親分さん(店の中から出てくる)まぁ、何から何までお世話になりまして。私まで下働きに雇って頂いて、何とお礼を申し上げていいやら」 平次「そりゃよかった。みんなで働いて一日も早く念願の染物屋を開くんだな」 おみね「はい(平次に深く頭を下げる)」 平次「じゃ、元気でやんなよ」 八「頑張ってな」 春吉「どうもありがとうございます」 平次「じゃまたな」 平次と八五郎、去る。 見送る母子。 八「親分、い〜い気持ちですね。いや、あっしもね、こんなときがつくづく岡っ引きになってよかったなと思うんすよ」 平次「罪人をつくるだけが、岡っ引きじゃねぇ。そこをよ〜く噛みしめることだな」 八「まったくで。いや、あっしも今度ばかりは、しみじみそう感じましたね」 平次「それがわかるようになったとは、おめぇもたいしたもんだ」 八「茶化しちゃいけませんよ、親分、ハハハ」 平次と八五郎、笑いながら参道を歩いて行く。 |
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| 10話 | 7月6日 | 女ごころ | 笠置シズ子 姫ゆり子 小林勝彦 |
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長屋の住民、倉松が殺された。なんとお静の水茶屋時代の親友、お咲の夫だった。道楽ものの夫に耐えかねてのお咲の犯行か? お咲は夫殺しを自白する。お静は情けと岡っ引きの女房という立場に挟まれ、苦悩する。心を鬼にしてお咲を自首させるお静。長屋の住民からお静に容赦のない言葉が飛ぶ。しかし、お咲の息子、松吉は事件当日、ある男を目撃していた。 ゲスト 笠置シズ子さん(お勢)、姫ゆり子さん(お咲)、小林勝彦さん(北島勘兵ヱ) お静が主役のエピソードです。 親友のお咲から夫殺しを自白されたお静、岡っ引きの女房である以上、見逃すわけにもいかず、その苦悩がよくでていました。長屋の住民から薄情だと言われるお静。お静は気丈に「私には難しいことはわかりません。でもこれだけは言えます。岡っ引きは犯人を挙げるためにだけ十手を握っているんじゃありません。罪の陰で隠れた人の憐れを添えてお上にご上達(?)するために持っていて、そしてお上が情けをくださるんです」と答えます。 冒頭、平次とお静が神社へお参り。おみくじを引くと平次が「大吉」お静は「小吉」平次ったら「心がけの違いだな」ですって。「小吉」も謙虚でいいですよね。お静が平次と所帯を持つ前のデートのことを話題にします。うなぎを食べたの、浅草に行っただの……女はこういうことはよく覚えています。平次はじゃどこかに行こうというとお静ははしゃぎます。平次は子供みたいだと。でも八五郎が事件を知らせに来て、おじゃん。 * ラストシーン 大番屋。 平次と八五郎とお咲が出てくる。 お静、松吉、北島勘兵ヱが迎えにきている。 松吉「お母ちゃ〜ん(お咲のところに駆け寄る)」 お咲「松吉!(松吉を抱きしめる)」 お静「お咲ちゃん、よかったわね」 お咲「ありがとう」 北島「親分、わしは、そなたに詫びなければならん。実は倉松の死体を空き地に運んだのは、このわしだ」 平次「北島さん、そいつはあっしにもわかってました。あの長屋でそんな才覚の働くのは、あんたをおいてほかにねぇ」 北島「いやぁ、わしは、お咲さんと松坊が不憫でならなかった。それで前後をわきまえず、浅智恵を働かせてしまったんだ。親分の計らいだろう、与力殿から何のおとがめもなかった。礼を言う」 平次「そりゃよござんしたね。お咲さん、早く帰ぇって長屋の連中を安心させてやんな」 お咲「はい」 松吉「おじちゃん、一緒に行こう」 北島「うん」 北島ら三人帰って行く。 お静「よかったね、おまえさん」 平次「これで俺のつとめは終わりだ。あとはあの親子がどう荒波を乗り越えていくか、お静、これからもお咲さんに力を貸してやるんだ」 |
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| 11話 | 7月13日 | 雨の中の男 | 渡辺文雄 坂口祐三郎 田村奈巳 |
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お化けか、かまいたちか、雨の夜に限って、雨戸を叩き、男の声が聞こえてくる。 佐吉は怯える。 最初の雨の夜、様子を見に行った妻、お市が殺されたのだ。 ついに佐吉も仮面の男に襲われる。 お市と仲の悪い弟の与次郎、不審な行動をとる下働きのお駒。仮面の下に隠された男の顔は? 平次とお品の調べで、因業な佐吉のために非業な死を遂げたお駒の姉が浮かび上がる。 ゲスト 渡辺文雄さん(岩造)、坂口祐三郎さん(与次郎)、田村奈巳さん(お駒) 原作 「雪の精」と思われる。 冒頭もラストも平次とお静のお惚気〜。 八五郎は、平次を日本一の親分とべたほめ。 平次は、因業な佐吉にお駒に嫁支度をしてやれと約束させます。 胸がすっとしました。お駒さん、お姉さんの分まで幸せになってくださいね。 ゲストの渡辺さんは、橋蔵さんと同じ、昭和4年生まれ。惜しくも平成16年8月に亡くなられましたが、神田の生まれだったそうです。 * 熱々はごめん 平次の家。 お品と八五郎が事件について話している。 八「そうだ、お化けの仕業だ」 平次「そうかもしれねぇな」 お静「(お茶を運んできて)その佐吉っていう人は、角兵衛獅子をやったり、女衒にもなったり、金貸しもしてるんだろ、おまえさん。随分、人を泣かしたっていうから、それは人の恨みですよ」 平次「おや、おめぇ、いやにはっきり決めちまうじゃねぇか」 お静「ええ、そりゃ、はばかりながら、あたしゃ、銭形平次の女房ですからねぇ」 平次「こりゃどうも、おみそれいたしました」 お静「どういたしまして」 八「(平次とお静を見て)これだぁ、それもしょっちゅう当てられっ放しときやがる。水でもごちそうになるか」 お静「今、お茶を入れたじゃないか」 八「せっかくですがね、熱々は結構御免こうむりますから。アハハハ」 * ラストシーン お駒の姉の墓。 八五郎が掃除をしている。 八「ねぇ、姐さん、しみじみ思いませんか? うちの人ってぇのは、なんと人情味のある優しい人なんだろうって」 お静「(花を抱えてくる)藪から棒にまた、私に何を言わせたいんだ」 八「いや、そんなんじゃないんですよォ。まっ、今度の事件についちゃぁね、子分のあっしでさえ、親分の情け深さにゃつくづく頭が下がる。まして姐さんにしてみりゃ、血も涙もある。なんて頼りになる人なんだろう、そう思ってるに違ぇねぇと思いましてね」 銭形平次のテーマソングが流れる。 お静「あたりまえじゃないか、銭形平次は、捕り物にかけちゃ、鬼にもなるけど人情には人一倍もろい人だもの、そこが、あの人のいいところじゃないか。あんないい人、この世の中に二人といやしないよ」 八「えっ、これだよ。薮蛇だよ。ごちそうさんです。帰りゃ駒形のどじょうですね、ハッハッハ」 お静「うふふ、知らないよ、あらっ」 平次、お品、お駒、与次郎が来る。 お静「(平次に)岩造さんのお裁きは、どうなりました?」 平次「そいつは、お品さんの持ちだ」 お品「(お静に)笹野様のお話じゃ、お上は前後の事情を斟酌なされ、よろしく取り計かろうと申されておりました」 お静「よかった……」 与次郎「親分さん、いろいろありがとうございました」 平次「ん、おまえさんもお駒さんを女房にして、せいぜい可愛がることだ。安心しなせぇ。姉さんを喜ばしてやんな」 与次郎「はい」 与次郎とお駒、墓の前に行く。 八「やっぱり俺の目に狂いはねぇな」 平次「ん?」 八「年は若いが、人間ができてる。おまけに色男ときているんだからね。よその岡っ引きとはわけがちがいまさぁ。日本一の親分だって言ってるんですよ」 平次「よさねぇか、八」 皆、笑う。 |
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| 12話 | 7月20日 | 狂った火 | 織本順吉 青木義朗 神戸瓢介 |
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病が治ると評判の行者、東海坊。火伏せの業の最中に焼け死んだ。どんでん返しの仕掛けが何者かによって抜け道を塞がれてしまったのだ。下手人は集まった人々の中にいると平次は、どんでん返しの仕掛けを念入りに調べ始める。人の弱みにつけこんで金を巻き上げていた東海坊。その上をいく奴がいた。 ゲスト 織本順吉さん(大徳屋)、青木義朗さん(御厩左門次)、神戸瓢介さん(東山坊) 原作 「火遁の術」 平次は、またしけのある髷に縞の着物と、初めに戻っています。 撮影と放送日が後先になっているのでしょう。 東山坊役の神戸瓢介さん、番組の2年目から10年目まで、平次の隣人の大工、留吉として楽しませてくれます。 平次と浪人の一騎打ち。 平次は、右手に十手、左手で投げ銭をしていました。 #618「男の勲章」で、平次は、右手を負傷して、お静の手を借り、一生懸命左手で投げる練習をしていました。 この回では、いとも簡単に左手で投げ銭をしていますが…? * 八五郎のぼやき 平次の家。 八五郎、神妙に平次の前に座る。 八「おはようさんで」 平次「な〜んで、今日は、やけに静かにへいって来たな。元気がねぇじゃねぇか」 八「ねぇ、親分、金がねぇのは、首のねぇのと同じといいやすね」 平次「そうともいうな」 八「ねぇ、親分、金が仇の世の中って、言いますね」 平次「どうしたんだ、八、やけに金にこだわるじゃねぇか」 八五郎は大事な虎の子を取られた話をします。 * ラストシーン ひょうたんや。 八「親分、よかったですねぇ。笹野の旦那のお骨折りで、あれなら大徳屋も重いお咎めにはなりませんよ」 平次「まぁな」 八「お菊さんもこれで一安心だ。ますます、新妻に磨きがかかるってもんだ、畜生」 平次「何が畜生だ」 八「あっしには、どうしてこう春の訪れが遅いんです?」 平次「まぁ、面(つら)と相談して、ゆっくり待ちな。いずれ、どっかからおこぼれが回ってくるだろうぜ」 八「おこぼれは、ひでぇや、親分」 お弓、料理を運んでくる。 お弓「はい、鉄火漬け」 八「おっ、すまねぇ」 お弓「あら、これは親分さんのよ」 八「お弓ちゃんまで」 平次「それみろい」 八「ついてねぇや(がっくりする)」 平次、お弓、大笑い。 |
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| 13話 | 7月27日 | 星より綺麗な花 | 園まり 小笠原良智 円山栄子 |
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江戸一番の大地主、伊左ヱ門。跡継ぎにしようと生き別れのおふじを捜していると、なんと二人も名乗り出てきた。 一体どっちが、本物か。 悩む八五郎にそんなのは、くじ引きで決めりゃいいと気の乗らない平次。 が、主が殺されたとなれば、話は別。 おふじを連れてきた庵平太郎まで、殺される。平次は、偽者を見破るためのある企てをするが、その結果は意外にも……。 ゲスト 園まりさん(お糸)、小笠原良智さん(伊三郎)、円山栄子さん(お舟) 劇中、園まりさんが「ふるさとの唄」を歌います。 この歌も本物のおふじの証拠となります。 今回は、立ち回りなし。 投げ銭も一枚だけでした(下手人が女だったから?) お静のやきもちが、見所の一つ。平次とのやりとりも面白かったですね。 平次の偽者を暴く罠が巧妙。 この話は7月27日放送。 平次は夏向きに絽の羽織。 家での、浴衣も粋だったり、大胆だったり、これも楽しみの一つです。 橋蔵さんの狙いだったのかも。 * お静のやきもち 平次の家。 平次とお静、差し向かいで食事。 平次「お静、おめぇ、子供が欲しいと思ったことがあるか?」 お静「何です? だしぬけに」 平次「ただ、そう思ったことがあるかって、聞いているんだ」 お静「そりゃ、ありますよ。でもそんな女の気持ちは、男の人にはわからないでしょうね」 平次「他人の子でもそうか?」 お静「女ってものはね、他人様の子も、もしこの子が自分の子だったらと思うことが、あるんですよ。まして私みたいに子供のない女にはねぇ。女の性(さが)っていうのかしら」 平次「それじゃ、自分の亭主が、よその女に産ませた子供だったら、どうだ?」 お静「おまえさん!」 平次「(あわてて)お、俺のことじゃねぇよ。たとえばの話なんだ。チェッ弱ったなぁ、こりゃ。急に怒ったりなんかして何だぁ」 お静「本当ですね! じゃいいけど」 平次「当たり前じゃねぇか」 お静「初めのうちは憎らしいと思うでしょうけど、やはり悪いのは亭主の方で、生まれてくる子供に何の罪もないことに気づくんじゃないのかしら」 平次「その子を引き取って育てるって事なんてこと、できるもんかなぁ」 お静「できると思うわ」 平次「できるか……そうか」 お静「おまえさん、それ何の話?」 平次「何でもねぇんだ。どうだ、久しぶりに猿若町でも覗いてみようじゃないか。音羽屋がえらい評判だぜ……うん」 お静「(首をかしげて)へんねぇ」 平次「なにが?」 お静「だってそうでしょ。自分の亭主が、よそでこしらえた子供を育てられるかどうかって聞いたかと思ったら、急に芝居見物で喜ばせようとしたり」 平次「何でぇ、おまえ、妬いてんのかぁ、へへ」 お静「妬きもしますよ!」 平次「冗談じゃねぇよ。そりゃ、よそ様の話だよ。おめぇ、そんなに俺が信じられねぇのか」 お静「知らぬは女房ばかりなりってね!」 八五郎が、庭に入ってくる。 | |||