| 回数 | 放送日 | サブタイトル | ゲスト出演者 |
| 88話 | 昭和43年1月3日 | 大江戸の春 | 桑山正一 御影京子 |
上方の香料問屋大津屋の娘、おみちが、見合いを嫌って江戸へ出てきた。秘伝書を持ったおみちは、堺屋の雇った朱鞘組に狙われる。機転をきかしたおみちは、秘伝書をお静に預け、極楽長屋に身を隠す。なんとおみちの見合い相手の清太郎も江戸に出てきていた。 ゲスト 桑山正一さん(堺屋)、御影京子さん(おみち)、林真一郎さん(浪花屋清太郎) お正月(1968年1月3日放送)ということもあり、クレージィキャッツのメンバーや喜劇人が、多数出演しています。 クレジットでは「越後屋」になっていましたが、劇中では「越前屋」になっていました。 お静が、すりに財布をすられるという不祥事。お静は、お民たちに「うちの人には内緒よ」と口止め。 見合いを嫌って逃げてきたものの、本人に会ったら、なんと秘かに思いを寄せていた人だった、平次が、堺屋の悪浪人と闘っていると、長屋の連中が、うちわ太鼓をたたいて、応援する、出初め式など……東映映画の一場面を見ているようでした。 * ラストシーン 堺屋の前。 捕り物のあと。 長屋の連中と清太郎がくる。 おみち「あっ!」 一八(いっぱち)「おみっちゃん、こいつが、あんたのお見合いの相手だぜ」 おみち「あんた……あんたが、浪花屋の息子はん?」 うなずく清太郎。 おみち「いっつも天満橋の上で、会う人……家も名前もわからん人……そやけど、あてのこと好きかもわからへん……あて、お見合いの日、橋の上でずっと待ってたんです。それなのに、あんた……」 清太郎「俺は、見合いの席にいたんだ。行けるはずがない」 平次「おみちさん、おめぇさん、どうして堺屋へ行きなすった」 おみち「あて……やっぱり帰りとうなったんや。はよ、大坂に帰って、天満橋の人に会いたかったさかい、それで堺屋さんにお金、借りに行きましてん」 平次「なるほどなぁ、そいつが、よりによって、おまえさんが来るのを手ぐすね引いて、待っていた狼だったわけだ」 八「全く世話のやける娘だぜ」 長屋。 一八「あ~あ、また別の張り合いを見つけんといかんようですなぁ」 源三「まぁ、あの娘が、幸せになるなら、やむをえんな」 仙太「いつまでも、ここにいるわけにいかねぇもんな」 政「な~に、くよくよするねぇ、一夜明ければ、正月だ。元気に新しい年を迎えようぜ(甚句を歌い始める)」 歌は、そのまま流れ、場面は、年が明け、出初め式。平次一家をはじめ、皆見学している。
|
|||
| 89話 | 1月10日 | 銀色の吹矢 | 藤田佳子 徳大寺伸 |
|
出会茶屋「吉野屋」で岡っ引きの辰造とおみよが心中していた。平次の調べで殺しだとわかったが、辰造の妻、お絹は嫉妬心からか夫を信じず、恨みに思っていた。反対に息子の辰吉はりっぱな父親と信じて止まない。 残された質草の仏像の中から辰造が命をかけて手に入れた「大野屋」の密約書と妻への詫び状が入っていた… 久々、親分のやくざ姿(むしりの髷にいろジケ)綺麗でしたねぇ。 為吉のドジでやくざが親分であることが敵にばれてしまいました。しっかりしてよ、為吉っつあん! ラストはやくざ姿の着流しのままでの立ち回り。投げ銭と素手での応戦。かっこよかったです。 どんでん返しがあったりして話の展開も面白かったし、親分のやくざ姿もあり、人情あり、岡っ引きの意地がありと内容の濃いエピソードだと思います。 辰造の家から質札が沢山出てきたので、お金に困っているお絹になさけでなく、御用聞きの意地だと言ってお金を渡します。 二両を渡したんです。とっさのことなのに、そんなにいつも持っているんでしょうか?親分の家も貧乏所帯の設定ですよね(笑)
平次の家 平次、お静と晩酌 お静「辰坊に詰め寄られたとき、おまえさん、つらかったでしょうね」 平次「あ〜、おいら、生まれて初めて嘘をついちまった。それも子供になァ」 お静「でも、私だってきっとそうしたでしょうね」 平次「なァ、お静、おいら、つくづく子供が欲しくなった。あんな罪のねぇものはねぇよ。へへまるで仏様みたいだ」 お静「でもどうして辰造親分がそんなかわいい子供があったのに!」 平次「ん〜、なにもそんな急に男が信じられなくなったような顔をしなくてもいいじゃねぇか」 お静「おまえさん、どうしても好きな女の人ができたら…」 平次「よせやい、何をいうんだ」 ラストシーン 平次とお静、八五郎が辰造の墓参り。お絹と息子の辰吉も来る。 辰吉「あっ、親分」 平次「おっ、辰坊…辰坊はちゃんの言ったことを覚えているかい?男の子に生まれたら死ぬまでに一遍は自分の命をかけてやらなきゃいけねぇことがある」 辰吉「うん、おいら、よ〜く覚えているよ」 平次「ちゃんはな、自分で言ったとおり命をかけて、りっぱな仕事をしたんだぞ」 辰吉「うん」 平次「おめぇとの約束を果たしたりっぱな、ちゃんだ」 辰吉「うん、おいら、ずっーと前からそう思ってたよ」 お絹、亭主を信じず、恨みに思っていたのでつらそうな表情 お静「おかみさん、あんなかわいい坊やがいらっしゃるんだし、私たちで間に合うことがあったらなんなりといたしますから元気を出してくださいね」 お絹「はい、ありがとうございます。あの人を恨みに思った償いは辰吉をりっぱに育てて…」 平次「それでいいんだ、おかみさん、幸せでな。さっ」 お静「じゃぁ」 辰吉「おやぶ〜ん」 ハ「さよならァ」 |
|||
| 90話 | 1月17日 | 狙われた平次 | 国景子 丹羽又三郎 |
|
平次の口利きで、紙問屋雲州屋に奉公している喜助が明神下境内で刺され、瀕死の重傷を負った。平次が調べを進めていくと真の狙いは喜助でなく、平次自身だったのだ。以前、強盗を働いた三兄弟が島送りになり、捕えた平次に復讐する為、島抜けをしてきたのだ。 平次の投げ銭で片目をつぶされた次男の松造は投げ銭を会得し、お静までも狙った。平次は単身敵地に乗り込むのだった。 お静に対する平次の思いやりの場面が散りばめられ、ラストの立ち回りでは平次のピンチあり、新しい技ありと見ごたえのあるエピソードでした。 冒頭、平次と八五郎が将棋を指していて親分が生まれてはじめて、八五郎に勝てると意気込んでいた矢先、に事件となり、勝負はお預けに。名親分も子分に弱みあり。 ラストの三兄弟対平次の対決。まず、松造の投げ銭攻撃。小屋根からドスを持った佐太吉(三男)が平次に飛びかかる。二人がころがりながら、悪戦苦闘しているところに、権次(長男)が投げた鎖が平次の首に!松造の投げ銭が十手を飛ばし、平次の額に傷をつける。 平次は後ろ向きに鎖で引っ張られながらも、足元の桶を踏み台にして、小屋根に飛び乗り、権次の後ろに回ってやっつける。 十手を取り戻し、顔の前でクルクル、バトンの如く回し、風車のように回っている十手は松造の投げ銭を撥ね飛ばす。(この新技、ちょっと笑っちゃいます) 見事、三人とも御用。そしてけしかけていた、三兄弟の姉、お辰も降参。 三兄弟との対決にいくとき、心配そうなお静に平次は「お静、お江戸はおいらの庭のうちだよ」とお静の怪我をした右手をやさしく握って言うのです。名台詞だな〜。ちょっと妬けますが(笑)
お静「すいませんね。おまえさんに、こんなことまでさせて…」 平次「いや、たまにはいいもんだ。さっ」 平次の家。捕り物にいく姿の平次。お静の手に包帯を巻いている。 平次「お静、おめぇに怪我なんぞさせちまって…傷ひとつなく、産んでくれたおめぇのおっかさんにすまねぇと思ってるんだ」 お静「そんなこと…うちのおっかさんがそんなこときいたら、きっと涙を流して喜ぶわ」 平次「そのうち落ち着いたらおいらから謝っておく」 お静「いいのよ。そんなことしなくて…」 平次、包帯を巻き終わって(橋蔵さん、なにをやっても器用ですね!上手に巻けてます) 平次「じゃ、ちょいと出かけてくるぜ」 お静「ええ」 平次「何か、買ってきてほしいものはねぇか?」 お静「唐人飴が食べてみたいの…ふふ」 平次「なんだ、子供みてぇに。よし、わかった、青いのやら赤いの、色々買ってきてやるぜ」 平次、立ち上がって玄関へ お静「おまえさん」 平次「ん?なんでぇ」 お静「気をつけてね」 平次「何を言い出すんだ、急に」 平次、お静の怪我をした右手をやさしく握って 平次「お静、お江戸はおいらの庭のうちだよ」(舞台の決め台詞みたい。ここで、暗転、よっ!音羽屋!拍手〜) 平次、出て行く。お静、今回はいつもとは違う、命がけの捕り物と感じていて、平次の心配をかけまいとする心もよくわかっている。神棚にいつもに増して熱心に無事を祈る。 ラストシーン 平次の家。平次、十手を磨いている。お静がそばに来る お静「おまえさん」 平次「ん〜」 お静、右手を見せる お静「ほら、よ〜く見てもわからないくらい、きれいに治ったでしょ?」 平次「おぅ、おぅおぅ、おい、お静、仮におめぇの片目がめしいだって(お静を狙った投げ銭を手で庇わなかったら右目に当たり失明していたかもしれなかった)おら、浮気なんかしねぇから安心しな」 お静「まァ」 ふたりで笑う 八「親分、お客様で…」 平次「なんでぇ、おめぇなんか客に呼んだおぼえねぇよ」 八「私じゃ、ござんせんよ。お〜喜助さん、遠慮はいらねぇや。入った、入った」 喜助「へい」 平次「おう、そうだったのかい。おい、お静、通してやんない。それから何かこう美味いもの買ってきてごちそうしてやんな」 お静「はい」 八「ちぇっ」 お静「どうぞ(喜助に中に入るようすすめる)」 八「あっしなんか、そんなやさしいことば、これっぽっちもかけてくれたことないのに」 平次「喜助には身寄りがねぇんだ。その点、おめぇにゃ、ちゃんと向柳原におばさんがいるじゃねぇか」 八「あんなおばさん、いるうちにはいりませんよォ」 平次「このヤロウ、バチ当たりめ!」 喜助「親分さん」 平次「おう、いやァ。さっこっち来な。八、座布団もってきな」 八「へい」 文机の上の投げ銭と二丁の十手のアップ。 平次と八五郎が三兄弟の姉がいるという、砂村新田にふたりともやくざに扮して潜入。親分は#89のときと同様、カッコイイ。髷はむしりでなく、手拭を乗せています。(新内流しみたいな)八五郎はむしりの髷。橋蔵さんがよくなさるように、着物の裾をまくって、おみ足を太ももまで出して(左足だけでしたが)歩くんです…どうも、やっぱり様にならないんですよ。 橋蔵さんは香山美子さんがおっしゃられたように、ほんとただ歩いているだけなのに、後姿でも色気があって…映像からでも伝わってきますね…溜息… 今朝、梅の開花情報をニュースでとりあげていました。少々遅れ気味だそうです。 そういえば、「銭形平次」の番組のなかで、親分が「梅は咲いたか〜桜はまだかいな〜」って唄っていたのを思い出しました。 お楽しみに。 |
|||
| 91話 | 1月24日 | 御高祖頭巾の女 | ジェリー藤尾 田村奈己 |
|
お民が旗本坂崎家の家宝、将軍拝領の茶碗を盗んだ廉で捕まった。お民の無実は晴れたものの坂崎家から今度は五千両が盗まれ、その次は祈願書を盗まれる。しかし、その都度、御高祖頭巾の女がそのありかを知らせるのだ。その女は誰?平次の周りをうろつく瓦版屋、仙太郎も怪しい…。 ゲストはジェリー藤尾さん。 旗本坂崎左近は殿様とはいえ、エラソ〜な態度!そのくせ、拝領の茶碗から、五千両から、祈願書から次々盗まれるなんてドジですね。学習能力なし?まっ、ラスト仙太郎の妹、お勝を屋敷奉公時代に弄んだお詫びに兄妹に平次を通じて詫び状と二百両を渡したから…少しは許そうか(笑) またまた、クレジットでは「腰元 桐」となっていたのに、劇中親分は「楓(かえで)」って言っていましたよ。クレジットを書く人がつくりの風を同と見間違えたのでしょうね。 ラストシーン 平次の家。平次、神棚に手を合わせ、長火鉢のまえに座る お静「うらやましいわ」 平次「ん?」 お静「そのご兄妹(きょうだい)。でもお兄さんの仙太郎って方どうなるの?」 平次「ん〜、楠神社で権次を殺したのは同じ島帰りの巳之吉だ。だから下手人は仙太郎じゃねぇんだ」 お静「それじゃ、罪には…」 平次「ん〜、今度の一件、表沙汰になりゃ坂崎の家に傷がつく。そこで何もなかったことにしてくれって言っているのは相手の方なんだよ」 お静「よかった。そのご兄妹、これから幸せになれるといいのにね…」 お静、ちょっと物思いにふける。 平次「どうしたんだい?」 お静「私、ちっちゃな時から親兄弟に縁が薄くて他人(ひと)の中ばかりで暮らしてたでしょ。だから人のなさけや憎しみの情が…ふふ、普通の人よりも…(平次の神妙な表情で自分をみつめているのに気づく)ふふふ、ごめんなさい。私には銭形平次という、この上もない頼もしい人がついていたのに…」 平次「こいつぅ〜」 お静、剥いたみかんを平次に差出し、平次がとろうとすると、ひっこめ、あらためて、平次のお口に…あ〜ん ご・ち・そ・う・さ・ま |
|||
| 92話 | 1月31日 | 亥刻(よつ)の鐘 | 近藤洋介 雪代敬子 |
|
平次の家に両替商伊勢屋の奉公人、吉五郎が訪ねてきた。4年前、平次に捕まったことを逆恨みしてのお礼参りだ。 伊勢屋の主人が殺された。平次は吉五郎以外に犯人の目星をつけないと意気込む。が犯行時刻の亥刻(よつ)には吉五郎はアリバイがあった。吉五郎は捕えられるなら捕えてみろといわんばかりに平次に挑戦的な態度をとってくる… ゲストは近藤洋介さん、雪代敬子さん 吉五郎のアリバイを崩しても崩しても、スルリとかわされ、さすがの平次親分も頭をかかえます。犯人とのやり取り、刑事コロンボ張りの痛快さで面白かったです。 ラストは八五郎とこのエピソードの鍵のひとつ、鶏との格闘でした。 八五郎、吉五郎が平次の家にきて、恨みをはらすといい捨てていったので、「あのヤロウ、ぶっ飛ばしてやる」と「ひょうたんや」でやけ酒。 亥刻(よつ)ごろなのですが、お弓が「店を閉めないとお役人に怒られちゃう」と言って八五郎をせきたてます。この時代店を閉める時刻をお上が決めていたのですね。(亥刻は午後10時ごろ) 平次の家。平次、こたつでうたたね。お静が羽織を掛ける 平次「眠ってたかい?」 お静「ええ、何か、うなされてたみたい」 平次「あ〜ァ」 お静「疲れているんですね」 平次「すぐ目の前にあるものを掴もうとするとサーッと逃げてしまうんだ。気持ちばかりイライラしてどうにもならねぇ」 お静「元気を出してくださいよ。いつものように自信をもって…」 平次「あ〜、仕事のことでおめぇにまで心配かけてすまねぇ」 お静「何言ってるんですよ。お茶でもいれましょうか」 平次「あぁ、熱いのを頼まぁ」 お静「はい」 ラストシーン 平次の家。平次とお静、こたつで焼餅を食べている。八五郎はそばの火鉢で餅を焼きながら食べている 八五郎「ねぇ、親分、今度ばかりはひどい目に会いましたね。下手人とわかっていながら、手が出せねぇんですからね」 平次「誰だって、おめぇ、人間の権利を持っているんだ。人の噂や体躯だけでしょっ引くわけにゃいかねぇ」 八「鶏を殺してその血を撒くなんて全く人間のする仕業じゃありませんね。ハ〜、思い出してもぞっとすらぁ。あっしゃァね、あれから鶏を見るとね、もう恐ろしくて恐ろしくて…だからね、こう毛羽を立ててね、後を追いかけられている夢ばかり見るんですョ」 お弓の声「おやぶ〜ん、たいへん、たいへんなのォ」 八「あれ、お弓ちゃん」 お弓、玄関で何かを探している 八「どうした、お弓ちゃん」 お弓「あぁ、八っつあん、たいへんなのよ。今ね、かわいい鶏、もらったから見せに来ようと思ったら急にあばれだしてね、逃げちゃったの」 八「エ〜!にわとりィ〜」 鶏が一羽、襖の後ろから出てくる 八「ワァ〜出たァ〜」 シッシッと八五郎、鶏を追い立てるのに四苦八苦。その格好に平次とお静、大笑い。 |
|||
| 93話 | 2月7日 | 万七手柄 | 曽根晴美 藤山直子 |
|
金貸しの久兵衛が細紐で首を絞められ殺された。細紐が荷造り用のものだったことから万七は荷造業の源吉を捕えるが、確たる証拠がない。平次は結び目が左巻きなことから下手人は左利きと断定。八五郎が捜してきた容疑者三人は全て右利き。平次が下手人はやっぱり源吉だと万七に告げたが、すでに万七は源吉を解き放った後だった。 万七の息子、市坊は子供たちから、万七はとんまな岡っ引きなどと言われ、いじめられるが、父ちゃんは江戸一番の岡っ引きだと信じている。その心を汲んで平次は万七に手柄をたてさせようと手助けをするのだった。 万七の息子が初登場。市坊というのですが、なぜか、後に万助と改名。演じているのは藤山直子さん。後の藤山直美さん。ご存知、藤山寛美さんの娘さん。遠藤太津朗さんのご本によると、出演したことを藤山さんは覚えていらっしゃらないようです。 今回は八五郎も大活躍。長屋のおかみさんから情報を得る為せっせとお手伝い。三人の容疑者が左利きかどうか調べる為、お菓子も刺身も食いぱぐれ、おまけに無理やり踊りのけいこまでさせられて。 万七に手柄を譲るのが嫌だとやけ酒を飲んだり、木にしがみついて動かねぇとだだをこねたり、平次親分もたいへん。 ラストの立ち回り。ごろつきたちのなかに川谷拓三がいましたね。おなじみになりました。 これ、最大のミスではないかと思うんですが、源吉は左利きだから、下手人と断定されました。ラストの立ち回りではなんと右手でドスを持っていました。しかも左手で懐からドスをだし、右手に持ち帰るんです。そこはどアップですよ〜。 源吉が右利きだったら犯人じゃな〜ィ(笑)それまでのシーンはちゃんと左利きでした。 お祭りなのか、出店が並んでいる。万七と息子の市坊が歩いてくる。飴屋のまえ。 万七「おい、市坊、飴、買ってやろうか…父っつあん(飴屋)」 飴屋「ありがとうございます」 万七「いくらだい?」 飴屋「一文でございます。ありがとうございます。どうも」 平次と八五郎が来る。遠くから万七と市坊をみている。 万七、市坊を肩車する 市坊「やっぱり、父ちゃんは江戸一番の岡っ引きだね」 万七「そうだい。これからもがんばるぜ」 市坊「うん」 八五郎「親分、いいことしましたね」 平次「ん」 八「おいら、なんだか胸がじーん、じーんとなって止まらねぇや」 万七「さァ、かあちゃんとこ、けぇろう(帰ろう)」 飴屋「ありがとうございました」 蛇足ですが、このときはまだ万七のおかみさんがいたんですね。後に逃げたとか、亡くなったとかで、男やもめになります。 |
|||
| 94話 | 2月14日 | 幼馴染み | 花園ひろみ 山城新伍 |
|
油問屋の主、伊豆屋政右ヱ門は還暦の祝いのまえに葬儀をだすという変わった趣向を行ったが本当に殺されてしまった。下手人と顔を合わせたのは盲目の女按摩、お藤だけ。しかし、顔は見えずともさわった手が覚えているという。 調べを進めていくと伊豆屋の一人息子、千代松は政右ヱ門の本当の子ではないことが判明。 お藤、源太、伊豆屋の妻、お滝、喜三郎と4人の幼馴染み…月日の流れがそれぞれの人生を変えていた… ゲストは東映映画時代、橋蔵さんの相手役も演じた、花園ひろみさん。山城新伍さんの奥様のときもありましたね。 その花園さん、盲目のお藤を演じていますが、かなり長い時間カメラのまえにいても目を開けたまま、まばたきしないんです。試しに挑戦しましたが、もちろん花園さんの楽勝。すごいですね。 #91「御高祖頭巾の女」ではお民が下手人にされてしまいましたが、今度は為吉さんでした。 平次の家の前。喜三郎が息子の千代松とお藤をつれて、平次一家に別れのあいさつ。 喜三郎「親分、いろいろお手数をかけました。前科のある父親をもった子供の不憫さを考えて何もかも、あっしひとりでひっかぶろうとしたばっかりに…」 平次「仕方がねぇ、それが親心だろう。お藤さん、喜三郎さん、忘れられねぇこともつれぇこともあったろうが、しっかり手をとりあって親子三人、幸せに暮らしなせぇよ」 喜三郎「じゃ、親分、いろいろと…」 喜三郎たち、平次の家をあとにする 平次「幼馴染みか…」とつぶやく お静、平次の顔をほほえんで見つめる |
|||
| 95話 | 2月21日 | 一本の命綱 | 長谷川明男 今井健二 |
|
文字若殺しと上総屋の御金蔵破りの片棒をかついだ咎人、やさぐれの仙太を伊豆から江戸へ平次と八五郎が護送する。平次の手と仙太の手は一本の捕縄で結ばれている。仙太の仲間が執拗に追ってくる。八五郎もはぐれてしまう。仙太は仲間が助けにきていると信じて疑わないが、どうも消すために追ってくるようだ。 平次の説得と捕縄の痛みから仙太は良心に目覚めていくのだった。 今回はアクション編です。親分の旅姿、乱れ髪にほれぼれです。 捕縄で繋がれたままでの立ち回りは、親分も思い通りにはいきません。足を挫いてしまいます。仙太はそれをいいことにわざと意地悪をします。 崖から仙太だけが落ちてしまいます。仙太を助けるべく、親分は必死に捕縄を引っ張って仙太を引っ張り上げます。このシーンそう、あの某栄養ドリンクのCMのよう…。まさに「ファイト〜一発ぅ〜」 捕り物に忙しい平次ですが、お静への思いやりの言葉を忘れません。お静も控えめでね。 お静が茶碗を洗っていると平次の茶碗が割れて、嫌な予感。そこへ為吉がやってきて、「親分と下手人が崖に落ちる夢をみた」なんて言ってくる。お静の不安を煽ってしまいます。正夢ということになるのですが。 ラストシーンの親分が満足げに煙草を一服。気持ちが伝わってきますね。さぞ、煙草がおいしかったことでしょう。 平次と仙太、追っ手を逃れ、小屋の中。しかし、追っ手の足音が。平次は仙太との捕縄をほどく。 平次「この先に茶店がある。もしおいらの生き証人になろうという気になったら…文字若殺しの下手人じゃねぇとすると御金蔵破りの見張りはたたき位のお仕置きで済む。お上がくださったこの捕縄、咎人を縛るばかりが能じゃねぇ。この縄の痛さにおめぇが目を覚ました。いいかよ〜く考ぇるんだ…茶店でまってるぜ」 しかし、仙太は茶店に現れず、単身、江戸へ向かい、兄貴分のお不動の常に文字若殺しの真相をせまるのです。 江戸に着いた平次、番屋から出てくると風呂敷包みを抱えたお静に出くわす。 平次「お静、すまねぇ、お静。銭形の平次は手柄を立てるのに夢中でたった一人の女房に心配のかけっ放しだ。勘弁しろよ」 お静「いいえ、ごめんなさい。私、来るつもりはなかったんですけど…今度ばかりは心配で…」 平次「(風呂敷包みを見て)それは?」 お静「ふふ、おまえさんに食べてもらおうと思って…番屋に言付けるつもりだったの…」 平次「ありがてぇ、やっぱり女房だ…はは」 お静「おまえさん、お新さん(仙太の恋人)ふつうの体じゃ…」 平次「なにィ、ただの体じゃねぇ?」 うなずくお静 平次「そうかい、そうだったのかい」 お静「おまえさん、仙太さんにもしものことがないように…」 平次「お静、お新さんの方は頼んだぜ」 お静「はい」 ラストシーン 仙太の兄貴分、お不動の常の部屋。捕り物が終わり、仙太が素直に平次にお縄を受けようと手を差し出す。平次は縛らず、仙太の傷の手当をする。 平次「バカな奴だぜ。たったひとりで乗込めばどんなことになるか…」 仙太「おりゃァ、もう矢も立てもたまらなかった…」 平次「一時の腹立ちで人を突いたり、斬ったりして、それで当座は気が晴れるが己に降りかかるもしものことを考えなかったのかい?…生まれてくる子供はどうなるんだ?」 仙太「生まれてくる子供?…まさか、お新が…」 平次「まさかじゃねぇよ、仙太」 仙太「知らなかった、知らなかった…お新」 平次「さッ、ゆきな(行きな)」 仙太「えッ?」 平次「お新さんが待ってるぜ」 仙太「それじゃ、親分」 平次「いずれ、お白州へのお呼び出しはあるがな」 仙太「親分さん、ご恩にきます」 仙太、手を着いて頭を下げ、去ろうとするが 仙太「親分さん、どうかあのお縄(二人を繋いでいた)をあっしに…手首に食いこんだ縄の痛さを一生忘れねぇように。生まれてくる子供の為にも世間から後ろ指をさされねぇ父親になります」 平次、懐から捕縄を出し(旅姿のままなので)うれしそうに両手でしっかり仙太に渡す。 平次「仙太…」 仙太「一度は死んだ俺だ。生まれ変わった気でやりますぜ」 捕縄を懐に入れ、去る 平次、岡っ引き冥利に尽きるといった表情で煙草を一服。 |
|||
| 96話 | 2月28日 | 割れた鏡 | 稲垣美穂子 中村敦夫 |
|
勘定奉行に昇進した須貝主水正が芸者染丸とともに屋形船に乗ったまま行方知れずとなった。須貝だけ水死体となって発見されたが、平次は刺し傷を見逃さなかった。調べを進めていくと染丸ことお光が大事にしていた割れた鏡に秘められた過去が明らかになる。 侍の名誉とお家大事の裏で理不尽に泣く町人のため平次は侍に立ち向かっていく… ゲストは稲垣美穂子さんと木枯らし紋次郎でお馴染みになった中村敦夫(今回はチョイ役ですが)さん。 このエピソードは#670「手鏡を抱く女」でリメイクされています。稲垣さんの役を司葉子さんが演じています。 平次とお静、冒頭では長火鉢で銀杏を煎っていて、ラストでは御餅を焼いています。つながりを持たせているのですね。 須貝の奥方が平次の家に来て主人の捜索依頼をします。帰ったあとで、お静が炬燵をずりずり引きずってもとの位置に戻すのが庶民ぽさが、出ていてよかったです。(客間がなくて居間兼用って感じ) 平次がお武家に対して啖呵を切る場面が多かったです。その勇み肌ぶりを台詞採録で感じていただけたら…と思います。 須貝主水正の捜索願にきた奥方、200両を置いていこうとするが、平次はもちろん拒否。奥方の帰った後で 為吉「親分、すご〜い奥方でしたね、なにか事件を頼まれたんですか?」 平次「ハァ〜」 お民「とすると…、ぎょうさん手土産ございましたやろ?あんな奥方だったら手ぶらってことございまへんやなァ」 平次「まァ〜、たっぷりとな〜」 お民「そうでっしゃろ、よろしおましたなァ、やァ姐さん、たんとこうて(買って)もらいや。いつもおんなじ着物ばかり着てはるさかい、たまには3枚でも4枚でもこうてもらいなはれや」 お静「ええ、うんとこうてもらいますからね、そのうちに…(平次に当て付けるよう)」 平次なんとも困った顔 須貝家の家臣、十兵衛が平次を襲う。仕向けたのは私と奥方が登場。 奥方「主水正は芸者と一緒に殺されたのではなく、不意の病で死んだのです。今、そなたに動き回られたのでは須貝の家の恥が天下に知れ渡ります」 平次「じゃ、お家と名誉と守る為にこのあっしを…?それが侍の道というもんでございますか。奥方様、平次はひとつだけ、はっきり申し上げたいことがございます。侍には侍の法があるかも知れませんが町方には町方の意地ってもんがありますんで。この平次はあなた様やお家の為でなくまだ、行方のわからねぇ芸者染丸のためにこの事件の謎は必ず、つきとめるつもりでございます。 須貝家、お光を引き取り、成敗しろと養子の源十郎に松永善兵衛が命令するが、源十郎は刀を抜くも、できない。代わりに松永が刀を抜いたところへ投げ銭。 平次「お光を成敗して口を塞いでしまえば、事件の本当の姿はバレねぇと思ったんでしょうがそうは行きやせんや。お光ちゃん、須貝主水正を殺したのは、おめぇや佐吉さんじゃねぇんだ。ここにいる松永善兵衛という旗本のお殿さんなんだ」 お光「えっ!」 平次「驚くのは無理はねぇが、あの夜、佐吉と一緒に大川に転落した主水正は水からはいあがって、近くにある松永善兵衛の下屋敷に行ったんだ。そしてそこで、松永善兵衛のために刺し殺されて大川に投げ込まれた。勘定奉行を主水正にとられて妬んでいたのは阿部将監だけじゃなかった。松永さん、あなたも人一倍その地位が欲しかったんだ。そして自分の出世の邪魔になる主水正を殺した…」 松永「ア〜、町人の分際で…旗本に向かってよくも…」 平次「へぇ、あっしは確かにしがねぇ町方でござんすよ。だけど御歴歴のお侍の世界にも随分と汚ねぇものが一杯あるんでござんすね」 八五郎が入ってきて、松永の動かぬ証拠を報告する 平次「松永さん、これでもまだ言い逃れをなさるつもりですかい?もうおっつけお目付けも来られるはずですぜ」 源十郎が松永に斬りかかろうとするが、平次が止める。隣室で松永が切腹。 平次「奥方様、武門の誇りや家の名誉のためにいくつもの悲しいことが起こっておりやす。若い源十郎様に二度とこのような悲しみを味あわせなくて済むようにあっしは心から祈っておりますよ」 ラストシーン 長火鉢で平次が餅を焼いている。お静は隣で縫い物 お静「お光さんは佐吉さんと一緒にならないのかしら?」 平次「当分はなァ。今はまだお光の頭の中には死んだ伊之助の面影がこびりついて離れやしねぇや」 お静「でもお光さん、まだ若いんだから、きっといつかあの二人に幸せがくると思うわ」 平次「うん、だがよ……いつも古着の繕いばかりですまねぇな」 お静「うふふ」 平次「おぅ、おぅ…焼けたよ(焼けた餅を紙の上に置いてお静に差し出す)」 お静「ありがとう」 平次「ほら」 八五郎が駆け込んできて、二人の前にすわるが、平次たちは気づかないそぶり 八「親分」 お静「どんなにお金や身分があっても家の為、侍の誇りのために心を鬼にしなくっちゃいけない奥方様だってあるんだもの。着物なんか買ってもらわなくても私…おまえさんのカミさんになって本当によかったと思ってますよ」 平次「へへへ」 八五郎、お静の惚気を聞いているが「たまらねぇや」と言って手元の餅をとって去る 平次「あの野郎、生(なま)もっていきやがった」 平次とお静、顔を見合わせて笑う |
|||
| 97話 | 3月6日 | 女雛は知っていた | 宇佐美淳也 |
|
女雛の人形の首を抜かれる事件が多発。なぜか同じ人形師が作ったものだったが、その人形師の娘は飛脚問屋越中屋勘助の後添えとなっていた。勘助は夜道で襲われ、「四千両」と言い残して絶命。賊の残した着物の袖から数十年前に作られた粗悪な寛文小判がでてきた。勘助の言い残した「四千両」と関係があるのか。これが市中に出回れば、天下の大混乱は必至。平次はことを公表せず、自分に一任してくれと金座の役人に頼むのだった…。 冒頭、八五郎が壊れた雛人形を持ってきて事件性があるからと親分をひっぱりだそうとします。平次は興味の無い様子。 平次は人形を調べていて「うん?」といったとたん、八五郎は手をたたいて「ほら、事件だ、姐さん、羽織だ」とはやとちり。 お静もその気になってつい、立ち上がって羽織をとりに行こうとするところがおもしろかったです。反射的になっている〜。 そのあと平次が「お静のお母さんの命日だから谷中の墓地に墓参りにいく」と言って出かけますが。#90では「おっかさんに(お静に怪我をさせたから)謝っておく」と言ってました。急死なさったのでしょうか?それともお墓に謝りに行くってこと? 平次と八五郎が帰宅。お弓をはじめ数人の娘たちが集まっている。部屋にはお雛様が飾ってある。 お静「あッ、おまえさん」 娘たち「お帰りなさい」 平次「おぅ、どうしたんだ、そんなもの(お雛様)飾ってよォ」 お静「私も、もうお雛様という年じゃないし、これ、お冬ちゃん(女雛を壊された被害者)にあげようと思って…」 平次「ん〜、ん〜、そりゃいいや。(皆の目をはばかり、声を落として)だがよく質屋から出せたなァ、おい」 お静「うふ」 平次の前で(向き合って立っている)ゆっくり髷を見せるようにまわる。 平次「あッそうか!簪ととりけぇたのか…まァいいや、いいや」 平次とお静、長火鉢のところに座る。平次、お静の髪をいとおしげにさわる。 それを見て、八五郎 八「お弓ちゃん、親分と姐さん、お雛様みたいだねぇ〜」 八五郎、お弓、娘たち、平次とお静を冷やかすように笑う 五段飾りのお雛様のアップ |
|||
| 98話 | 3月13日 | 献上の琵琶琴 | 田中春男 |
|
琴師、井原文衛門の店に音吉が幕府献上の五弦の琵琶琴は自分が工夫して作ったものだと喚き込んで来た。その琵琶琴が盗まれ、番頭の伝兵衛が殺された。音吉が下手人?翌日、番頭殺しのあった部屋の屋根裏に下手人が潜んでいた。平次と八五郎があとを追うが、投げ銭を見事にかわす、とんぼを切って逃走。平次はとんぼきりの名手を捜す。 名誉と金に溺れる男たちをよそに音吉とその娘、お小夜の情愛が琵琶琴の音のようにどこまでも美しかった… ゲストは田中春男さん、橋蔵さんの映画には必ずといっていいほど出られていました。 冒頭、八五郎が若い娘にあとをつけられていると、有頂天。でもその娘、お小夜は親分に用があったのです。行く道が同じだっただけ。残念! 音吉の書いた琵琶琴の絵図面を弟分の兵六に写し取らせ、番頭殺しをさせた、もと火消しのとんぼきりの名手、留造。 留造の家の暖簾、もしかして平次親分の家に以前掛けられていた物では? ラストシーン 琴師、井原文右衛門の家 平次「(文右衛門に向かって)人、ひとりが殺され、お小夜は音吉を助けようと『お父っつあんは無実だ。罪人は私だ』と書置きを残して毒をあおって死のうとしたんだ。みんな、おめぇの悪だくみから起こった出来事だ」 音吉「お小夜…お小夜が俺の身代わりに…(お小夜を見て)お小夜、すまねぇ、俺は今日までおまえに嘘をついていた。それなのに、それなのに、おまえは…」 お小夜「いいえ、お父っつあん、私、何もかも知っていたの。死んだお母さんが今わの際に教えてくれたの。赤ん坊のとき家の前に捨てられていたこと…」 音吉「俺と女房が乳をせがんで泣くおまえが哀れで米の粉を溶いてそれをおまえに飲ませていた。ところがよ、いつしか実の子のような気がしてそれから、まもなく女房は死んだ。男手ひとつでなにひとつおまえに十分なことしてやれなかった。そうこうしているうちに、おまえは年頃になって…せめて人並みの格好をしてやりてぇと思ったがそれには金がかかる…」 お小夜「それであの五弦の琵琶琴を?」 音吉「俺は幾日も寝ないで絵図面を書いた。それでこれが出来たんだ。俺は今まで、気ままに年をとってきて、ふと気がついたら、俺はおまえのほかに身よりはねぇ。おまえに嫌われたらひとりぼっちだ。だからおめぇに嫌われねぇようにそれで…」 お小夜「何を言うの、お父っつあん、私こそ私こそ、お父っつあんにもしものことがあったら、それこそひとりぼっちになってしまうのよ」 音吉「お小夜!」 お小夜「お父っつあん!」 父娘、抱き合う。平次、うなずく 平次「祐見様(盲目の琵琶琴弾きの名手)お聞きの通りでございます」 文右衛門、逃げようとするが、万七と清吉が御用にする(平次が手柄を譲った) 祐見が献上の琵琶琴を弾く。琵琶琴の音がラストまで続く 八五郎「ねぇ、親分、あんな明るいお小夜さんの顔見るの初めてですね」 平次、うなずく。祐見を乗せた籠が遠ざかっていく。 |
|||
| 99話 | 3月20日 | 今日の月 | 霧立はるみ 梅津栄 |
|
研屋五兵衛が短刀で喉を突き、自害した。平次は首の血の流れ具合に不審を抱く。娘は父親が自害する筈がないときっぱり断言する。枕元の遺書も腑に落ちない。 「奈良屋から借用の金子三千両が返せないので死ぬ。 筆とらぬ 人もあろうか 今日の月 五兵衛」 たった、これだけしか書いていない遺書。平次は書かれた句が月見のときのものだと閃く。酒の上の戯言が命をも奪ってしまう事件となったのだ。 ひとりでお留守番のお静。ごろつきが5人ほど襲ってくる。助けようと隣の為吉がなんと短筒をもって登場。あっけなくごろつきが奪ってしまいますが、なんと子供のおもちゃ。再びお静のピンチ!そこへ親分が帰宅。ごろつきどもは逃したものの、お静さん、よかったね。 平次の家。お彼岸の頃だからでしょうか、けっこうリッチな宴会をしています。平次、お静、為吉、お民、八五郎、下っ引きが酒盛り。 平次「あ〜、いつのことだか、蔵前の札差がたった一晩の月見に三千両の金を賭けたってんだ」 八五郎「ハ〜ァ」 平次「そんなことが話に出たりしているうちに酔いの回った研屋がよし、私も今夜の月を三千両で買おうなんて…まァ…もちあわせがないから三千両は奈良屋に借金だ…ふん、まァいいご機嫌になってワイワイワイワイ言っているうちにあんな遺言状を書いちまったんだとよ」 為吉「へぇ〜」 お静「書いた研屋さんも研屋さんだけど奈良屋さんもなんて恐ろしい気になったんでしょうね」 八「そんな人騒がせなものを書いたばっかりに、てめぇの命までとられちまってね」 平次「てめぇばかりじゃねぇ。こっちとらも狙われたんだ」 お静「ほんと、私たちにもとんだとばっちりがかかったんですものね」 お民「ほんまや〜」 八「いくら酒の上の話だか知らねぇけど全くバカな話ですね」 平次「廓の女に正室ってやつを書いちまったばかりに、五万石を棒にふった大名もいるが…へへ…こいつもみんな酒の上だ。万一、違背仕り候節は剃髪してお詫び仕るべく…なんて書いちまったもんだから頭を剃らなきゃならねぇはめになって腹を切った侍もいるんだ。へへ 酒もいいが度を過ぎるときちがい水だからな」 お静「では、ここもきちがい水にならないうちにそろそろ御積もりにしましょ」 平次「おい、おい、こっちはまだ序の口だぞ、おい」 お静「酔っ払って女房を賭けにかけたご亭主もいるそうですからね」 平次「何を言いやがる。俺がおめぇを…そんなことにでもすると思ってんのかい?」 お静「こわい、こわい」 平次「ちぇっ」 お民「(為吉に)あんたもええ加減にしときや」 為吉「何言ってやがんでぇ、おいらだっておめぇをそんな…」 お民「ほんまかァ?」 為吉「ほんとだよ、考えてみたってわかるじゃねぇか」 お民「そうか、ほな、まァ、お酌してやるわ」 為吉「そうか、へへ」 八五郎「おいおい、ここにはひとりもんがいるんだぜ」 お民「あっ、そや忘れてたがな、堪忍やで、八っつあん(八にお酌する)いこ、いこ」 八「へへ、結構な晩で…」 皆、笑う |
|||
| 100話 | 3月27日 | 隠密有情 | 黒川弥太朗 岸田森 |
|
美土代町で大工の新三の妻、お仲が死んだ。自殺のようだが、整然とした部屋に平次は疑問を抱く。亭主の姿もない。 事件の裏に隠密の陰がちらつく。平次は新三が夕結城新十郎という侍で隠密の役目をしていたことを知る。お仲は騙されていたのか?お仲との愛に有情を取り戻した新十郎は命をかけて古井戸に落ちた子供を救い、お仲のもとへ旅立っていくのだった…。 またアラ、発見!(笑)出演者に「お咲き」という役名がふたつあったんです。?と思っていましたら、ひとつは「お仲」の間違いでした。 哀れなお仲にせめて立派な葬式を出そうと平次は自腹を切って葬式を出します。そのためにたんすから質草にするため、着物をせっせと風呂敷へ。それを見ていたお静、共感してまた着物をせっせと風呂敷へ。ほんとうに着たきりすずめ〜になってしまう。でもご安心を。葬式の当日、与力の笹野様が平次に葬式の足しにとお金の包みをくれました。 姉のお仲を新三が殺したと恨む、弟の文二、お静にこう質問します。 「あんた、親分に殺されたら、うれしいと思って死ねるかい?」 お静は 「そうねぇ、たぶんとても幸せだと思って死ぬでしょうね」と応えます。 文二は 「ふ〜ん、女って不思議なもんだなァ」と言う。 私だったら…ふ〜ん…… 皆さんだったら? 平次、帰宅後、質草にすべく、たんすから着物を出している お静「どうしたんです?おまえさん」 平次「当分、着たっきりスズメになるが、勘弁しろよ」 お静「それはいいですけど…でも…」 平次「おめぇにはわけをきかせねぇ訳にはいくめぇ。実は美土代町の一件なんだ。お仲を殺(や)ったのは思ったとおり亭主の新三なんだ」 お静「まあ、でも何か事情が…」 平次「ありすぎる位なんだ。こともあろうに新三は備州(?)様の隠密だったんだ。役目の上で大工なんぞに変装しているうちに変装とは知らずにお仲に惚れられてしまったんだ。お仲と一緒になったのは世間を欺く方便だったかも知れねぇがそのうちに新三もお仲に惚れた」 お静「わかるわ、夫婦ってそういうものなのよ」 平次「苦しんだにちげぇねぇよ、新三は。でも役目の都合で江戸を去らなきゃならなくなっちまったが、お仲を捨てることはもとよりできねぇ、思い余って新三は…」 お静「待って!お仲さんは自害じゃないの!」 平次「ん?」 お静「そういうとき、女ってわが身を始末することを考えるものですよ、だから…」 平次「そうか、それで、傷が二段になっていた訳がわかった。お仲は自害しようとして出刃を胸に突き刺したが死に切れなかったんだ。苦しんでいる様子をみるにみかねて、新三は…」 お静、うなずく 平次「お仲を死なしたのは新三じゃねぇ、隠密という裏街道を必要とする世の中が殺したんだ。そこまでわかっていながら、俺にはどうしようもねぇ。お仲さんの葬式を出してやること位しかできねぇんだよ」 お静「おまえさん、よくそこに気づいてくれましたね、やりましょ、お仲さんに立派なお葬式を出してあげましょう」 平次「お静…」 お静も一緒になって着物をたんすから出す ラストシーン 古井戸に落ちた男の子を新三が縄抜けの術を使って助けだすが、落石がもとで死んでしまう 隠密の二人の仲間「死んだらしいな」 平次「(しゃがんでいるが、ふたりを睨みつける)勇気のある大工でした。てめぇの命を犠牲にして子どもを救ったんでさぁ」 平次、立ち上がって 平次「いづこのご家中の方か存じ上げませんが、たったひとりの女ですら幸せにできねぇ方々には天下の幸せを考える資格はねぇんじゃございませんか?たとえ、ご政道の担い手が代わったとしてもあっしはそんな世の中、これっぽっちもみたいと思いません。子どもの命を救って死んでいったこの男の方がはるかに立派ですぜ。今頃は女房と手に手をとって幸せな夢でもみていることでしょう」 隠密「あっぱれな大工、手厚く葬ってやるがいいぞ」 隠密のふたり、去る 平次「文二、(お仲の弟)新三を憎んじゃいけねぇよ。お仲さんは騙されたことを知ってもそれでもまだ新三に惚れていたんだ。 惚れるってことはそういうことなんだ、なぁ、お静」 お静「ええ、そうよ」 物陰に立っている、文二の恋人、お咲に気づく お静「文二さん、お咲さんが…」 平次「おまえはお咲さんを殴ったり、蹴ったり、随分ひでぇことをしたようだが、それでもおめぇについてくるお咲さんの心を…わかるな(?)」 文二「親分、」この人(新三)の弔いを俺とお咲に出させてやっておくんなさい。だってこの人は俺たちの兄貴だもん」 平次「えらいぞ、文二、さあ、早くお咲さんのところへ行ってやんな」 お静「仲良く暮らすのよ、お仲さんや新三の分まで幸せにね」 文二、お咲のところへ行って、ふたりは去る 八「親分、あっしは驚きましたねぇ、忍術っていうのは講釈の中だけだと思ったら本当にいたんですねぇ」 平次「いくらご政道のためとはいえ、こんな役目のいらねぇ世の中にならなきゃいけねぇな」 お静、うなずく |
|||
| 101話 | 4月3日 | 翡翠を持つ女 | 悠木千帆 岸田森 |
|
御禁制の宝の石の売人、乙松が御用となった。番屋に人を訪ねにきた水戸の呉服問屋の娘、おかね。なんと乙松はその女に宝石の売買を頼まれたという。しかし、首筋にほくろがあるという特徴がない。 おかねが殺されそうになったとき、平次はふたごの存在を疑う。 そう、おかねとおぎん(妹)は双子に生まれたばかりに不吉といわれ、引き離されて育ったのだ。裕福に育った姉のおかねを妬んで育ち、悪の色に染まったおぎんだが姉妹という、切っても切れない血はおぎんの本来のやさしい心を取り戻させるのだった。 ゲストは悠木千帆さん(現 樹木希林さん)#100「隠密有情」でゲストだった岸田森さんとご夫婦だったことも。今はロッカーの内田裕也さんですね。 悠木千帆という芸名の女優さんがいらっしゃいます。(私、初耳でした)1997年に某テレビ番組で自分の大切なものを売るという企画に樹木さんが当時の芸名、悠木千帆を競売にかけ、競り落とした方から譲ってもらったのですって。 冒頭、親分は御禁制の宝石の売人を捕まえるため、変装して居酒屋で待ちます。頭巾にくちひげ、あごひげ、左目に眼帯、茶人風ですがちょっと異様。 お静が縫い物をしながら親分を待っています。そばに親分の夕食があって、布巾がかかっています。しっかり「寛永通宝」の大きな図柄が染めてありました。 |
|||
| 102話 | 4月10日 | 御前様は誰か | 黒川弥太朗 真山知子 |
|
極楽湯の近くで、薊の仁兵衛が、殺された。平次と八五郎が、極楽湯に聞き込みに行くが、極楽という名とは、裏腹に女を食い物にする地獄のようなところだった。悪の組織を牛耳る夜の王者、御前様とは、一体誰なのか。そして、幇間の弥市が、かどわかされる。平次は、弥市の唯一の趣味、匂い袋に不審を抱く。 ゲスト 黒川弥太郎さん(笹野新三郎)、真山知子さん(信乃)、川辺久造さん(森安清兵衛) 平次が、湯に行こうとすると為吉に出会います。為吉は、今評判の極楽湯に行こうと平次を誘います。為吉は、後ろにお民が、いるのも気づかず、いい女がいるとかなんとか、調子にのってしゃべっていて、お民に気づいた平次の困った顔、よくある場面ですが、面白かったです。 気の毒な女たちを救ってやろうとするのは、出過ぎた真似ではないかと落ち込む平次。そこは、ちゃんとお静が、フォロー。心配して、平次の様子を見にきた笹野様、出る幕なしでした。 冒頭、平次が、湯にいく姿、手ぬぐいをぶら下げ、そのあと肩にかけ……粋な仕草ですね。 * 甲斐性 路地。 湯に行こうとしている平次、仕事帰りの為吉と出会う。 平次「おぅ、為さん、今、お帰ぇりかい」 為吉「は~、親分さん、へ~、銭形の親分さんが今頃のんびりお風呂にいらっしゃるなんて、天下泰平ってとこですね」 平次「ん~、まぁな」 為吉「そうそう、風呂で思い出したんですがね、親分さん、その極楽風呂ってぇのご存知?」 平次「極楽風呂だぁ?」 為吉「へぃ、この春両国へ店を開いて、それもたいそうな評判なんで」 平次「どう評判なんだ?」 為吉「どう評判? いやんなっちゃうな全く。親分ときたら、固ぇ一方で、その方はとんとわかんないんだからなぁ。(小声で)あのね、そこんところはね、とびっきりの湯女を揃えてるんですってさ。若くて、はちきれそうで、それが湯から上がりの二階の座敷へ通る。『お兄さん、一杯どうぞ』色っぽい手つきで、酌してくれるんで。男にとっちゃ、堪えられませんよ、へへ」 平次、為吉の後ろにお民が、来ているのに気づく。 平次「あの……」 為吉「あっしね、一遍、行ってみたいと思ってたんで。親分、一緒にお共、お共」 平次「お、おい、為さん……」 為吉「あっ、お静姐さんには、ちゃんと話を合わせやすよ」 平次「ち、ちがうんだよ、お静じゃねぇんだよ」 為吉「えっ?」 平次「お民さん……」 為吉「お民? うちの? おた……問題じゃありません、遊ぶのは男の甲斐性だ!(大声で)何が悪いんだぁ! 怒鳴りつけてやりやす、ええ」 お民「あんたぁ~(妙に優しく)」 為吉「はい、お民!(初めて、気付く)」 お民「今、ゆうたこと、もう一遍ゆうてみぃ?」 為吉「いや、だって、おめぇな(平次に助けを求めるように)これから親分と風呂でもへぇって、さっぱりして……」 お民「若こうて、べっぴんで、はちきれそうで、お兄さん、一杯どうぞというとこへやか! それじゃ | |||